開発プロジェクトストーリー

こちらでは開発時のエピソード等を交えた、プロジェクトストーリーをご紹介しています。
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開発プロジェクトストーリー 〜快適性の追求〜
だから、諦めない
筋肉により近い特性という具体的な目標を得て、研究は加速した。圧力分散性が良いだけでは快適性は語れない。そもそも、人間は呼吸により1秒間に約1回という揺れがある。この揺れを妨げることは、血流を妨げることにつながり、その結果不快感につながる。寝たきりの方が床ずれになるのは、摩擦で肌が擦り切れるのではなく、この血流阻害が原因だ。圧力分散を測定することはもちろんであるが、血流量を測定することも重要な要素となった。

筋肉は、こうした揺れを妨げることなく吸収する。さらには、少々の出っ張りを吸収する特性を持っている。つまり、点の力では沈みこんでも、面の力ではある程度の硬さを保ち、しっかりとサポートする。

血流量と同時に、人体構造にまで研究領域を広げていくと、思わぬことが見えてきた。人間には、お尻に仙骨(いわゆる尾てい骨)がある。この仙骨を座面に押し付けて動きの自由を奪った状態にすると背骨全体の動きが取りづらくなり、不快な状態に陥りやすい。筋肉特性のクッション性では、これを見事に解決している。筋肉特性による支持は、点でばね0支持なので、背骨を支持しながらもその動きを妨げないことがわかった。つまり背骨が呼吸することをさまたげないシート特性の誕生である。

こうしたことを実証するために、さまざまな実験を繰り返した。快適性は、これまで感覚的なものであった。しかし、ここまで多くの人に支えられて実現した取組みを単に「他よりもどことなく心地良い」で片付けられたくはない。

誰が見ても良いとわかるよう、快適性を数値的にとらえることは重要なことだ。このため、大学との共同研究にも取組んだ。心理や機械的な観点だけでなく、医学的な観点からも快適性を突き詰めることに没頭した。

また、自動車シートは走行振動にもさらされる特殊な環境である。研究を厳密なものにするため、この走行振動を再現する加振機も自ら作成し、厳密なデータ取得に務めた。頼実氏の思いは、すでに開発メンバ全員に行き渡り、全員が一致団結して筋肉特性とばね0特性の実現に取組んでいったのである。
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